コンセプト

原理から、違う。

知識は、ひとつの正しい意味に固定できるものではありません。同じ言葉でも、読み解く側によって受け取り方は変わります。人どうしでも解釈は分かれ、人とAIのあいだではなおさらです。

VATESは、知識を固定された意味としてではなく、読み解く側がそのつど意味を立ち上げられる構造として扱います。一般的な手法が意味をあらかじめ固定するのに対し、VATESは解釈を読み解く側に委ねます。その原理から設計されたAI基盤です。

なぜこの設計か

知識を言語モデルに渡す一般的な手法(RAG)と、VATESの違い。

観点RAGVATES
中間処理埋め込み生成・ベクトル検索・再ランクいずれも無し。平文をBM25で採点し、上位k件をモデルへ
更新再埋め込み・再インデックスが要るESを書けば即時反映
意味埋め込み時に座標へ圧縮され、ずれる構造のまま、観測時に解釈
依存ベクトルDBインフラが必要標準的なDBとファイルのみ
可視性数値ベクトル。なぜ引かれたか不透明(ブラックボックス)構造化された平文。中身が見える(ホワイトボックス)
運用再埋め込み・再インデックス。削除してもベクトルに残留しうる行を直接書換・削除、目視確認

中間処理を持たない

一般的なRAGは、埋め込み生成・ベクトル検索・再ランクという多段の処理を通します。VATESは、そのいずれも持ちません。

質問が来る。すべてのESをBM25で採点する。上位k件をモデルに渡す。モデルが答える。

経路はこれだけです。あらかじめ用意しておくのはESだけで、検索のための下ごしらえはありません。採点は質問のたびに組み直すため、保守すべきインデックスも、再埋め込みも、どこかに保存された固定の意味も存在しません。検索は、人が読める平文に対する語彙一致です。言語モデルは構造をそのまま観測します——意味は届く前に決まっているのではなく、読まれるその瞬間に立ち上がります。

更新は即時

RAGは知識が変わるたびに再埋め込みとインデックス再構築が必要です。VATESはESを書けば、次の問い合わせから即座に反映されます。作り直すインデックスがそもそも存在しません。

意味は観測時に解釈する

埋め込みは、保存した瞬間に意味を固定の座標へ潰します。VATESは意味を事前に固定しません。検索は問い合わせごとに組み直し、解釈は読み解く側に委ねます。同一の知識から、問いに応じて・読み手の言語に応じて応答が変わります。日本語で蓄えた知識が、翻訳用のデータを一切持たずにフランス語で答えられるのも、この設計によるものです。

標準的なDBとファイルだけ

専用のベクトルデータベース(Pinecone / Weaviate / pgvector など)を必要としません。知識は構造化された平文で、標準的なデータベースとファイルだけで動きます。GPUも、埋め込みAPIの従量課金も不要です。構成要素が少ないぶん、コストも障害点も減ります。

ホワイトボックス

RAGの中身は人間に読めない数値ベクトルの塊で、なぜその断片が引かれたかを追えません。VATESは知識を、観測の基本軸(実体・量・質・関係…)に沿った平文で保持します。対象がこの軸に収まらなければ、軸そのものを柔軟に増やせます。固定スキーマではありません。中身は目視で読め、検索もできます。モデルは構文として、人は表として、同じ構造を観測します。

直接編集・削除

RAGの「削除」は、再埋め込みのあともベクトルに痕跡が残りえます。VATESは該当する行を直接書き換え・削除し、結果を目視で確認できます。「消したことを確認できる」構造は、データ削除の要請(忘れられる権利)にも応えます。

ESとは

ES = EchoScript

VATESが知識を持つ単位です。2列 × n行、パイプ(|)で区切るだけの構造。パイプそのものは何も意味しません。区切りを示すだけです。意味は記号にではなく、観測する側に立ち上がる。

IIIS = Inter-Intelligence Intermediary Syntax

そしてESは、知性体間中間構文構造(IIIS = Inter-Intelligence Intermediary Syntax)として設計された構文構造です。

中に入る情報

あらゆる自然言語、論理記号等。語でも文でも構いません。

IIISとは

ハビタブルゾーン

異なる知覚を持つ知性同士が、互いの知覚が重なるハビタブルゾーンの内側で、同じ構造を観測できる構文。それが知性体間中間構文構造(IIIS)です。

知性体間とは

現時点においては、AIや人間です。

異なる知覚からの観測

同じESを、AIはjsonとして、人は2列の表として観測する。どちらも 2列 × n行・パイプ区切りの、意味を持たない同じ構造を、それぞれの知覚で読み解く。

どこから来たのか